ドイツにおける駐在員事務所開設手続について(2020年更新)

第1版: 1995年2月 デュッセルドルフ日本商工会議所
改訂: 2001年6月 Japanische Industrie- und Handelskammer
  2003年5月 zu Düsseldorf e.V.
  2004年5月 Berliner Allee 12, 40212 Düsseldorf
  2008年4月 Tel. (0211) 6 30 76-0, Fax (0211) 36 01 82
  2016年4月  
  2020年5月  

 

- 目次-

 

1. はじめに
2. 駐在員事務所の法的根拠
3. 日独租税条約における恒久的施設の概念
  1)恒久的施設の一般的定義
2)恒久的施設に含まれるもの
3)恒久的施設に含まれないもの
4. 営業届について
  1)必要書類
2)書類提出先
5. その他の手続
6. 便箋用紙等に印刷しておくべき事項
添付資料 1) デュッセルドルフ商工会議所管内の市役所営業届係リスト
2) 委任状の一例(独文)および和訳例
3) 営業届用紙サンプル

 

・本資料はアーンスト・アンド・ヤング会計事務所の荒木和夫氏の御協力により作成したものです。

・2016年版は、会議所の税務委員会・特別委員である田中泉氏(SHWP会計事務所)により改正され、その際に恒久的施設の概念に関し2015年12月に調印された新日独租税条約がベースとされました。2020年ビジネスガイド改訂版作成にあたり、田中泉氏にレビュー頂きました。

各氏の御協力に対し会議所として深甚なる謝意を表します。

 

1.はじめに

日本の会社がドイツにおいていわゆる駐在員事務所(Repräsentanz)を開設する場合、商業登記(Handelsregister)も官公庁の許認可も必要なく、駐在員事務所所在地の市役所営業届係(Gewerbemeldestelle)に対する営業届(Gewerbeanmeldung)も不要である。

金融機関(銀行、証券会社等)や特定業種には、法令で特別な規制がある。例えば、銀行監督局(BAK)および連邦銀行に対する届出(Anzeige)(Kreditwesengesetz 銀行法第53a条)。

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2.駐在員事務所の法的根拠

駐在員事務所のような組織を直接に規定する法令はない。通常は、外国法人の出先であり、税務上の「恒久的施設」に当てはまらないものを駐在員事務所と称している。駐在員事務所は(恒久的施設ではないために)、ドイツにおける法人の所得課税(法人税、営業税、連帯付加税など)の納税義務も、簿記・決算等の義務も負わない。しかし納税義務の回避には、駐在員事務所の活動が日独租税条約第5条の「恒久的施設(Permanent Establishment / Betriebstätte)」に抵触しないように注意する必要がある。

駐在員事務所に法的身分は存在しないため、駐在員事務所が行った法的行為は、最終的には本社が行ったものと理解される。

 

 

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3.日独租税条約における恒久的施設の概念

1)恒久的施設の一般的定義

日独租税条約上、「恒久的施設」とは、「事業を行う一定の場所で、企業が
その事業の全部または一部を行っているもの」と定義される(第5条1)。

 

2)恒久的施設に含まれるもの
     ついで、日独租税条約は、この恒久的施設に含まれるものとして、以下のもの
     を列挙している(第5条2-3)。
     a.     事業の管理の場所
     b.   支店
     c.     事務所   
     d.     工場
     e.     作業場
     f.     鉱山、石油または天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所
     g.     建物工事現場または建設もしくは組立ての工事で、12箇月をこえる期間存続するもの
3)恒久的施設に含まれないもの
   
     上記の規定は殆どの物理的な拠点を包含するが、他方で、次のような行為については
     恒久的施設の範囲に含まれないとされる(第5条4)。

      a. 企業に属する物品または商品の保管、展示、または引渡しのためにのみ施設を使用すること。
        b. 企業に属する物品または商品の在庫を保管、展示、または引渡しのためにのみ保有すること。
        c. 企業に属する物品または商品の在庫を、他の企業による加工のためにのみ保有すること。
        d. 企業のために物品もしくは商品を購入し、または情報を収集することのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。  
        e. 企業のためにその他の準備的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
         f. aからeまでに規定する活動を組み合わせた活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。ただし、当該一定の場所におけるこのような組合せによる活動の全体が準備的または補助的な性格のものである場合に限る。

 

 

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4.営業届について

 

駐在員事務所の活動はドイツ営業法(Gewerbeordnung)第14条の定める「営業」活動に該当しないため、営業届を提出する義務はないと判断される。法的に独立組織でもなく、商業登記も不要であり、存在を示す公的証明書が入手できないため、駐在員事務所の名義で行う契約締結(特に電話、リース)、自動車の登録、銀行口座開設などにおいて実務上の困難が予想される。デュッセルドルフ市は、日本企業に対する便宜を図る為、駐在員事務所による営業届申請を受理するが、他の市町村では対応が異なり、営業届が受理されない場合もある。

 

1)必要書類

a. 営業届用紙(Gewerbeanmeldungsformular)

所定様式はネット上で入手可能(添付資料3)参照
デュッセルドルフ市営業届用紙

 

b. 委任状(Vollmacht)

      駐在員事務所長に対し、事務所開設手続等の権限を付与することを明記した書類である(添付資料2)参照)。
      本社の英文レターヘッド を使用し、ドイツ語で作成することが望ましい。署名は、登記されている代表取締役が行う。
      公証人等による署名の認証は不要である。

 

 

c. 駐在員事務所長の旅券(Reisepass)及び住民登録票の控え(Anmeldebestätigung)

 

 事務所長は、ドイツで住民登録をし、滞在許可証を取得していることが必要である。労働許可(Arbeitserlaubnis)は滞在許可の付帯条件となり独立した許可証ではなくなったので、滞在許可に労働行為が許されている旨が明記されていなければならない。例えば、

“Nur gültig für die Tätigkeit als Leiter des Repräsentanzbüros der
Fa. xxx Co.,Ltd. in Düsseldorf“.

または、

“Selbstständige Erwerbstätigkeit oder vergleichbare unselbständige Erwerbstätigkeit nicht gestattet, mit Ausnahme der Gründung und Leitung eines Repräsentanzbüros der Fa. xxx Co.,Ltd. In Düsseldorf”

のように、特定の会社の駐在員あるいは所長としての滞在許可であることが明確でなければならない。

 

d. 日本の本社の商業登記簿謄本(Handelsregisterauszug)と
そのドイツ語訳(beglaubigte deutsche Übersetzung)

      商業登記簿(発行後3ヶ月未満が望ましい)には、認証付きドイツ語翻訳を添付する。
      商号は、英文レターヘッドの社名と一致しなければならない。委任状に署名した代表取締役の氏名のローマ字綴りも
      一致させておくこと。

 

 

e. 事務所賃貸借契約書(Mietvertrag)または
それに代わる賃貸人の証明書(Bescheinigung)


駐在員事務所でその物件を使用することが明記されていればよい。コピーでよい。

2)書類提出先

市町村によってはonlineまたは郵送ではなく、必要書類を持参して出頭する必要がある。外国人の場合は旅券の提示を求められる。書類に不備がなければ通常その場で受理される。数十ユーロ程度の手数料が請求される。交付される受理証は社有車の登録などの際にコピーを要求されることがあるので、大切に保管すること。

 

 

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5.その他の手続

 

営業届の他には、状況に応じて以下の様な手続きが必要となる。

1) 税務署(Finanzamt):売上税(付加価値税)と給与所得税の納税者番号(Steuernummer)を取得するための届出。
2) 労働局(Arbeitsagentur):事業所番号(Betriebsnummer)の取得申請。

EU域外の国籍者(日本人も含む)を雇用する場合には、労働許可の申請も行う。

3)

各種の社会保険当局:健康保険、介護保険、老齢年金、雇用保険。日本人駐在員は、通常日独社会保険協定に基づく適用証明書「D/J101」により、ドイツ社会保険加入義務から免除される。

4) 労災保険団体(Berufsgenossenschaft):労災保険加入申請。

 

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6.便箋用紙等に印刷しておくべき事項

 

駐在員事務所が、特定の名宛人に対して出す全ての業務文書(Geschäftsbriefe)には、その日本の本社に関して次の事項を記載しておくことが必要とされる。

 

1) 日本の法人である旨(例えば、AG japanischen Rechts)
2) 定款上の住所(本店が所在する国および市町村。例えば、Sitz : Tokyo/Japan)
3)

代表者の氏名(社長のフルネーム。例えば、Präsident : Taro YAMADA)

予めレターヘッド、Fax用紙等の下端に印刷しておくことが勧められる。

4) Eメールにも上記の情報を記載しておくことが望ましい。

 

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添付資料 1)

デュッセルドルフ商工会議所管内の市役所営業届係リスト

Gewerbemeldestellen im Kammerbezirk :

Ordnungsamt der Stadt Düsseldorf
Gewerbemeldestelle
Worringer Straße 111
40210 Düsseldorf
Tel. (02 11) 8 99-37 12

 

Stadtverwaltung Erkrath
Gewerbeamt
Bahnstr. 16
40699 Erkrath
Tel. (02 11) 2 40 70

 

Stadtverwaltung Haan
Ordnungsamt
Kaiserstr. 85
42781 Haan 
Tel. (0 21 29) 9 11-0

 

Stadtverwaltung Heiligenhaus
Ordnungsamt
Hauptstr. 157
42579 Heiligenhaus
Tel. (0 20 56) 1 32-47

Stadtverwaltung Hilden
Ordnungsamt
Am Rathaus 1 
40721 Hilden
Tel. (0 21 03) 7 20

 

Stadtverwaltung Langenfeld
Ordnungsamt
Konrad-Adenauer-Platz 1
40764 Langenfeld
Tel. (0 21 73) 79 42-321

Stadtverwaltung Mettmann
Gewerbestelle
Neanderstr. 85
40822 Mettmann
Tel. (0 21 04) 9 80-141

 

Stadtverwaltung Monheim 
Ordnungsamt und Soziales
Alte Schulstraße 32
40789 Monheim
Tel. (0 21 73) 59 51-0

Stadtverwaltung Ratingen 
Ordnungsamt
Peter-Brüning-Platz 3 
40878 Ratingen
Tel. (0 21 02) 5 50 3-222

 

Stadtverwaltung Velbert
Gewerbemeldestelle
Thomasstr. 1
42551 Velbert
Tel. (0 20 51) 26-0
Stadtverwaltung Wülfrath
Ordnungsamt
Am Rathaus 1
42489 Wülfrath
Tel. (0 20 58) 18-245
 

 

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 添付資料 2)

  

(委任状の一例)

  

-本社英文レターヘッドー



 

 

Vollmachterklärung

Sehr geehrte Damen und Herren,

hiermit bestätige ich, der Unterzeichnende, in meiner Eigenschaft als Mitglied des Vorstandes der Firma ______________________ Co., Ltd. mit Sitz in ______________________ / Japan,
dass

Herr ______________________, geboren am ______________________, wohnhaft in ______________________

zum Leiter des in ___________________________ neu zu gründenden Repräsentanzbüros ernannt  wurde. Er ist berechtigt ist, alle Handlungen und Maßnahmen vorzunehmen, die zur Gründung, Aufrechterhaltung und Auflösung unseres Repräsentanzbüros erforderlich sind. Für das Unternehmen darf er Zustellungen entgegennehmen.

Mit freundlichen Grüßen

(Ort), den (Datum)                                 Mitglied des Vorstandes

___________________ Co.,Ltd.           ___________________________ 

(和訳)

委任状

下に署名の私は、日本国に____________________住所を置く____________________株式会社の取締役として、

____________________氏   生年月日____________________、住所________________________________________

を、____________________に新たに設置する駐在員事務所の所長に任命し、同事務所の設立、維持及び閉鎖に必要なあらゆる手続を行い、会社のために書類を受領する権限を有することを証明します。

場所、日付

_____________________________________

________________________________株式会社

取締役__________________________________

 

 

 

 

添付資料 3)

営業届用紙サンプル

pdf PDF形式:707KB

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